ワクチンの話題の中で多くのママ達の関心を集めているものと言えば、注射ではなく鼻に噴霧するインフルエンザワクチン「フルミスト」です。
海外では以前から使われており、今までも個人輸入を行って接種をしていた積極的なお医者さんもいました。そして今回、日本でも正式に販売が承認され、多くの医院で接種が開始となります。
実は、海外と日本とでは対象年齢や接種回数が違うようです。
日本 | 海外 | |
承認時期 | 2023年 | 米国2003年 欧州2011年 |
対象年齢 | 2歳~18歳 | 2歳~49歳 |
接種回数 | 1回 | 1回だが、ワクチン接種歴がない2~8歳は2回 |
注射のワクチンは、不活化ワクチンといってウイルスを分解し精製したものですが、フルミストは弱毒化した生きたウイルスです。
このワクチンのコンセプトとしては、
①注射じゃないので痛くない
②鼻に噴霧し感染させるので、注射の免疫で出来るIgG抗体だけでなく、粘膜を守るIgA抗体も作られる
なんか、いいことだらけですよね。
さて、肝心の効果の方はどうなんでしょうか。
注射のワクチンとそれ程は効果に差はないと説明されることが多いです。
実は、アメリカでは2015/16年のシーズンで、ワクチンの発症防止効果が注射のワクチンの60%に対しフルミストは5%、A型のA(H1N1)pdm09 (2009年に新型インフルエンザと言われたヤツ) のみに絞った解析では無効とのデータが出て、2016~18年は接種勧奨が中止されました。
(ただし、その後は再び接種は推奨されています。)
日本では、2016/17年に885例を対象とした調査で、発病防止効果28.8% でしたが、2-6歳群、13-18歳群では統計的に有意ではなかったようです。
菅谷 東京小児科医会報 2024
なぜイマイチな結果になってしまったかは色々推測はされるものの、はっきりとはわかっていません。
現時点での私の個人的な印象では、フルミストはB型に対しては効果が安定していますが、A(H1N1)pnd09 に対しては効果は低めというところです。
実は、フルミストは(2014年から)A型B型それぞれ2種類、計4種類のウイルスが入っている4価となっていましたが今シーズンからB型が1種類の3価となります。
1種類減らすことでウイルスのお互いの干渉作用を減らし、鼻の中での増殖をしやすくして免疫獲得効果を上げようとしているのかもしれません。
今回、日本で大々的に使われるので、その結果が待たれます。