肺炎マイコプラズマ と マイコプラズマ肺炎
“マイコプラズマ肺炎が日本中で大流行!” といったニュースをよく見ました。
でも、それホントなの??
肺炎マイコプラズマは流行しても、マイコプラズマ肺炎は流行してないです。
病原体であるマイコプラズマは、Mycoplasma pneumoniae という名前です。 pneumoniaは肺炎という意味なので、マイコプラズマは、正式には肺炎マイコプラズマという名前になります。
肺炎マイコプラズマに感染したときにマイコプラズマ肺炎になったと言えば、みんなが肺炎になったことになります。 そんなことはないのです。
マイコプラズマに感染して肺炎を起こす頻度は3-5%です。
また、肺炎を起こし熱が続いても全身状態は悪くない例が多く、
昔から “歩く肺炎”(Walking Pneumonia) と言われます。
更に、小学生の高学年や中学生に比べて乳幼児では症状は軽く、肺炎にもなり難いです。
毎度のことながらニュースはママたちを過剰に不安にさせます。
肺炎マイコプラズマとはいったい何者なのでしょうか。 こやつはウイルスではなく細菌になります。
ただし一般の細菌とはちょっと異なり、サイズは小さく、また増殖速度がゆっくりです。 増殖速度が遅いことから、潜伏期間も2~3週間と長めです。
また、この病原体は下気道にある気道上皮細胞で増殖するため、上気道には下気道の1/100 程度のしか存在しません。
そのため、咽をグリグリして検体を採取する迅速検査での検出率はそれ程高くはありません。
先に、学童に比べ5歳以下の乳幼児では肺炎の頻度はかなり低くなると書きました。
実はマイコプラズマが肺炎を起こすのは、この細菌が直接 肺の細胞を破壊するというよりも、
感染した患者の免疫が過剰に反応してしまうことが原因なのです。
そうなら、免疫が未熟な乳幼児はむしろ肺炎を起こし難いということも納得できます。
もちろん、少しの割合で症状がひどくなる患者さんはいるかもしれません。
色々なカゼと同じように、まずはお子さんの全身状態を冷静に観察することが大切です。
そして、結論はいつも同じです。
恐れ過ぎず、侮らず です。